外資系企業の仕事スタイルとは

仕事

外資系企業はやはり国内企業とは違った仕事スタイルがあります。

イメージとしては東京を見渡す摩天楼にオフィスを構え、社内に英語が飛び交い、長いバカンスをとって、クリスマスにはオフィスでパーティー、みたいなイメージを持っている方もいるかもしれません。

実際のところ、日本企業とどこが違うのかをご紹介していきます。

外資系は給料がいいってホント?

よく聞く話ですが、外資系はギャラが高いという噂があります。

これはスティーブ・ジョブスやビル・ゲイツの年俸が何億だとか、カルロス・ゴーンはいくらもらっているという外国人社長の年俸のイメージがあるからだと思います。

実際のところ、金融系や証券系以外はそれほど高額なギャラとは言えないかもしれません。ですが、噂にはある程度の根拠があります。

外資系は給料がいいと言われる理由はこちらです。

もともと大企業である。

そもそも日本でいう外資系企業は本国では大企業であり、グローバル企業です。市場として魅力的だとはいえ、極東の島国に日本支社を作るだけの余裕があるわけです。

そして日本の人件費はアジア諸国と比較して安い訳ではありません。簡単に言ってしまうと、大企業なので給料もいい、ということが言えます。

即戦力をヘッドハンティングする必要があるから

外資系企業は一から人を育てて何年もかけて育成するという概念がほとんどありません。人材が足りなくなったら優秀な即戦力をよそからぶっこ抜いてくるというやり方をします。

でも優秀な人材であればあるほどそんなに簡単に今いる会社を辞めません。転職の際、何が重要視されるかというと、給料か人間関係のどちらかです。

すると現実的にスムーズに解決できるのは給料ですよね。ですから人材確保するために高い給料を保証するわけです。

今がいいだけで毎年上がるとは限らない。

外資系は年俸制をとっていることがほとんどです。同い年のひとと年収を比較すると国内企業よりは高いかもしれません。

でも、外資系は毎年ベアアップがあるわけではありません。基本的には年俸は保証されますが、毎年毎年給料が上がっていくわけではないのです。

そして退職金もない会社もあります。また、終身雇用という概念もありません。ですから、多少高く見えますが、生涯年収を考えると給料がいいとも言えません。

残業がないという噂

これはウソです。日本人の労働時間は長すぎるという話をよく聞きますが、外国人のホワイトカラーもかなり働きます。

企業による差はもちろんありますが、外資系は少人数で回していることも多いため、1人当たりの仕事量がかなり多かったりします。もちろん仕事が終わるまで帰れませんから、残業することもしばしばです。

また、本国とのやりとりをするポジションであれば電話会議などすることもありますから、時間どおりに勤務していればいいというわけにはいきません。

残業代についてはそれぞれの契約によります。

自分の仕事だけする人がほとんど

これはジョブディスクリプションがしっかり決まっているからです。ジョブディスクリプションは「職務記述書」と言われることが多いです。

ジョブディスクリプションというのはあなたがどんな仕事をしなければならないかがきっちり決まっており、それに基づいて評価されるものです。

ですから自分の職務以外の余計なことをしても評価にはつながりません。

ジョブディスクリプションの例

例えば「A―B―C」という仕事があって、Aの担当はA、Bの担当はBの仕事しかしません。Cの人がいなくなってもジョブディスクリプションが変更になるまで誰もCの仕事をしません。

良かれと思ってしたところで評価の対象にならないからです。

また、仕事には流れがあって、現実的にはAからBへ繋がなければいけないつなぎの「―」(ハイフン)の仕事があるのですが、それは誰もしなかったりします。

実際に働いていると何かと何かの間をつなぐ仕事や、溝を埋める仕事が意外と多かったりします。

日本企業だと誰かがやってくれたり、誰かがお手伝いとしてやることが多いのですが、外資系ではそんなことはありません。

決められた仕事以外はやるべきではない

そしてあなたもやってはいけません。「やらないほうがいい」ではなく「やるべきではない」のです。

よく「今年の新人は言われたことしかやらず、自分からは動かない」などと仕事の態度にケチをつける人がいますが、こと外資系ではそれが正しいのです。

言われたこと以外の仕事をすると、

  • 「なぜ君がそんな仕事をしているんだ」
  • 「誰がそんな仕事をやれと言った」

と怒られることはあっても褒められることはありません。その仕事をボスに命令されたらやりましょう。

偉さはレポートラインで決まる。

誰にレポートするかであなたの格が決まります。

部長にレポートしていれば部長の次にえらいことになりますし、課長にレポートしていれば課長の下ということになります。

外資の場合は特にはっきりしています。「誰の下」ではなく、誰にレポートしているかで判断されます。日本のように係長代理補佐心得というようなよくわからない肩書はありません。

Report to でレポートしている上司の次のポジションということになります。

日本市場に合わせる気がない

日本市場に乗り込んできたばかりの外資系企業は日本市場に迎合する気はありません。本国の言うことをいかに日本市場に広げるかがテーマであって、日本の商習慣には興味がありません。

何故なら既にそのやり方で北米やヨーロッパで成功しているからです。

ですからエンドユーザーのニーズをフィードバックして日本市場に向いた商品を作ったり、営業をしている方にはかなり違和感があると思います。

外資系企業が必要としているのは日本市場からのフィードバックではなく、本国商品のシェアの拡大だからです。

かといって、本国のやり方だけを押し通していると結局は失敗します。外資系小売業などはほとんど成功していないと言っても過言ではありません。

ですから日本に上陸して長い企業であれば日本市場に馴染んでくる場合もあります。ですが、グローバル企業は日本だけに向けた商品なんか作っているヒマはありません。

日本支社が本国に営業力を持つほどの実績を作って、初めて日本発信の意見が聞き入れられることになります。

まとめ

外資系企業と日本企業のスタイルの違いは、ひとことで言ってしまうと母国の文化の違いと言えるかもしれません。

どちらが良いとか悪いとかいう問題ではなく、考え方や商習慣の違いなので、それは個人の力量で変えられるものでもありません。スタイルの違いを認識し、それを楽しめるかどうかにかかってきます。

「郷に入れば郷に従え」。英語でも似たようなことわざがありますから、文化が違っても人間の考えることは似たようなものなのかもしれませんね。